スパ
……おい、少しは呼びかけに答えたらどうだ?
「テメェ、俺達に何か用でもあるのか?」
金髪が襟首をつかむ。これはしばらくぶりの餌か? もっと挑発し、しつこく絡め。そうすることが己の命を失う行為だと……
「ん? 両手に手袋……まさか」
鼻ピアスがこちらの両手を見ている……。気付いたか? 奴は、こちらを睨んでいた愚か者の肩を引き剥がすようにつかんだ。
「ば、馬鹿! こいつ、西高の九条だよ! 『歩く死神』だよ!」
「! う、嘘だろ!」
途端に金の頭髪を持つ愚か者はその手を離す。クソッ、しばらくぶりの餌になったかも知れんと言うのに……!
風のような速さで二人の愚か者は消えていく……。逃げ足だけは一人前だな……。しかし……この女……助けられて悲鳴の一つもあげんのか。『歩く死神』に助けられたんだぞ、貴様は? それともショックで誰かもわからんのか?
……おい、一言も言葉をかけずに行く気か?
チッ! 助けた奴に悲鳴をあげられれば、結構な精神的ダメージがあるものを……まあ、ないものねだりをした所で仕方ない……。
今回はどうだった?
奴等の心が、どす黒い恐怖に染まっていく様は?
それとも切りつけられるような肌の痛みを体感したか?
あるいはその内なる恐慌の悲鳴を聞いたか?
今回は何を味わった?
なあ相棒、どうなんだ?