アビル
「……じゃあ、まず、僕が確実に知っている事実から話そう」
そう言って彼はアルバムを開いた。最初に見せられたアルバムには、三人の父親と思われる人物と、二人の母親、そして誰かのお姉さんと思われる人が一人、そして三歳くらいの男の子が二人、おかっぱ頭の女の子が一人。
「ここにいるのがあいつ、隣りにいるのが僕」
「この子は?」
あたしが女の子を指差すと彼は、
「もういないよ」
もう?
……転勤したって事なんだろうか。
続いて彼はまたアルバムを開いた。
「小学校の入学式の様子。僕達が住んでいた地域は人数が少なくて、一学年につき一クラスしかなかった」
それは今時珍しい。でも、それがどうしたのだろうか?
「そして、これが卒業式の時の写真」
あれ? 入学式の時は少なくても、三十人はいたのに……二十人ちょっとに減ってる…
「あの……何を言いたいのか、よくわからないんだけど」
あたしがすまなさそうに言うと、今度は封筒の中から書類を取り出した。書類は、新聞紙の切り抜きを貼ったものだ。だけど、その切り抜きには田村君が引いたのだろう、赤い線が引いてある。