ビルウ
とにかく……オレの力が揮われるのは間違い無さそうだ。オレとお前は、一心同体なんだからな、なあ幸一、ククク……
電灯だけがジジジ、と貧相な音をたてて明滅している。
幸一はベンチに学生鞄を置き、両の白い手袋を外す。
同時に、幸一の左半身に禍々しい刺青に似た螺旋の模様が、左手の甲を起点として浮かび上がる。自分の意思でオレを出すのはそう無いんだが……この手の相手は問答無用で殺しにくるからな。話し合いなど無用だと、何回も襲われれば猿でも理解できる。
周囲の気圧が急激に低下する。同時に、点滅していた電灯が完全に消えた。
来る! 咄嗟に幸一は横に跳ぶ。刹那、上空からベンチを鞄ごとあっさり切断するほどの圧縮された風の刃が幸一の頬と制服を刻む。ベンチが塵と化し、舗装されていない土の地面が容赦なく抉られていく。
膝をついて体勢を整えようとするが……
「待て! 俺は、お前達と争う気はない。周りに害を加える気も……」
声を張り上げても無駄だというのは、今までの経験でわかっているだろう? 奴等はバカなんだよ、本当に。
二撃目がきた。ほら、どうした? オレを……チッ! 前方から地を這うような低い姿勢で人影が飛び込んできやがった! 一般人な訳が無い、この風を操っている本体だ!