デビルウ
幸一は上空から襲いくる風を……よけやがった、オレを使わずに……そのせいでさらに体勢は崩れ、奴に絶好の攻撃機会を与えてしまった……!
背後に回った敵は、心臓に貫手を放つ。だが幸一は後ろも見ずに、まさに紙一重でその貫手をかわし、逆に右腕で相手をがっちりとロックした。
「……魔封じの刻印」
囁きと共に幸一の左半身に刻まれた螺旋の刻印が赤黒く輝く。同時に、左眼の眼球の色が反転した。つまり、白目の部分が黒に、黒目の部分が白になったのだ。
そのまま左半身を捻り。裏拳を相手の顎に叩き込む。上体が仰け反り、体勢が完全に崩れた所で右腕のロックを外し、脚払いをかけて馬乗りになったところで、オレが封じ込まれた左手を相手の下腹部に当てた。
なるほど、さっきオレを使わなかったのは、撒餌という訳か。これではかわせん。
左眼に見えるのは、幸一を……いや、正確にはオレを殺そうとする殺意。それがどす黒い感情となってこいつの体の周りで渦を巻いている。耳に届くのは、心の声。あまりにも多くの声がありすぎて、全ては拾えんが……『殺す』、というのと、『死にたくない』、というのはわかるな、ククク。