ぐーてんたーく

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ウィスパー8

ウィスパー8

対象の想いを色にして網膜に映す、その内なる叫びを耳元に届ける、殺気を皮膚の痛みとして知覚させる……ようは、五感が相手の感情を照らし出すのだ、宿主たるこいつに。

 もっとも、これは副次的な力。俺の本当の力は、

「……意思を、その魂を喰らえ、ジン」

 ……宿主の許可もおりたことだ。ありがたく頂こう。

 一際強く、赤黒く幸一の左手が輝く。その輝きに相手のどす黒い殺意は掻き消され、吸い尽くされていく。女の心が吸い尽くされていくのと同時に抵抗も薄れていく。

……この、甘く、苦い、煉獄と天国を混ぜ合わせたような味がたまらん!

これがオレの真の力。相手の意思を、魂を破壊し、その対象を死へと至らしめる。

 その気になれば世界を創造した神の『意思』を物質から断絶させることで、本来意思を持たぬ物までをも消滅させることが可能。

 ククク……そして、幸一は指一本動かさなくなった相手をはじめてじっくりと眺めた。白髪……しかし、その反射具合は銀、と言った方がいいかもしれん。それに良く似合った黒瞳。髪は肩の辺りで切り揃えている。服の色は藍色で統一されている。背は幸一より少し低いくらいか。人間の感覚で言うならば、美人と言われる人間の部類に入るだろう。

 今は、意志を失ったただの冷たい骸だが。

(そいつはお前が殺したんだ。三年ぶりの殺しの感想はどうだ?)

 オレはことさら奴の心に響くよう、紳士的な口調で事実のみを囁く。